作業療法士(OT)は、対象者の身体機能や精神機能の回復だけでなく、その人の「生活そのもの」を再構築する専門家です。しかし、病気や障害を抱えた患者さんが直面する現実には、必ずと言っていいほど「お金の壁(不安)」が立ちはだかります。
そこで活きるのがFP3級の知識です。身体と環境のプロであるOTが、社会保障や税金といった「お金の制度」の基礎知識を持つことで、支援の幅は劇的に広がります。
目次
1. 患者さんの「リアルな生活再建」をより深くサポートできる
病気や障害による退院後の生活や、在宅介護において、患者さんやご家族は経済的な不安を抱えています。FP3級で学ぶ社会保障制度の知識があれば、以下のような場面で具体的な視点を持つことができます。
- 社会保障制度を前提とした目標設定: 「高額療養費制度」や「障害年金」「傷病手当金」などの基礎を知っていることで、患者さんがどのような経済的サポートを受けながら生活していくのか、全体像を把握した上でリハビリの計画を立てることができます。
2. 医療ソーシャルワーカー(MSW)との連携がスムーズになる
具体的な手続きや深い相談はMSW(医療ソーシャルワーカー)やケアマネジャーの領域ですが、現場で最も患者さんと密に接するOTが「制度の存在」に気づけるかどうかが鍵になります。
- 「気づき」から「繋ぐ」役割へ: リハビリの雑談の中で、患者さんがお金や仕事の不安を口にしたとき、「それは〇〇という制度が使えるかもしれませんね。詳しいことはMSWさんに確認してみましょうか」と、適切な専門職へスムーズに橋渡しをする(リファーする)ことができます。
3. 作業療法士自身の「キャリアと生活防衛」に直結する
医療・福祉職は、社会貢献度が高い一方で、給与の頭打ち感や待遇面に悩む人も少なくありません。FP3級は、患者さんのためだけでなく、自分自身の身を守る盾にもなります。
- 家計管理と資産形成: 税金(所得税・住民税)、保険の見直し、NISAやiDeCoといった資産運用の基礎を学ぶことで、手取り額を最大化し、将来の不安を減らすことができます。
- 働き方の選択肢が広がる: 将来的に訪問リハビリでの独立、フリーランスとしての活動、または副業を検討する際にも、税制や社会保険の知識は必須となります。
まとめ:FP3級はOTの「生活をみる解像度」を上げる
FP3級の取得によって、作業療法士が突然金融のプロになるわけではありません。しかし、患者さんの生活を「身体・環境・心理」だけでなく「経済的背景」からも見立てられるようになることは、他のセラピストにはない大きな強みになります。
試験自体も比較的取得しやすく、学んだその日から生活や臨床に活かせる実践的な内容ばかりです。作業療法士としてのステップアップや、自分自身の人生を豊かにするために、FP3級への挑戦は非常にコストパフォーマンスの高い自己投資と言えるでしょう。

